京都藪之下町の家

新旧の家のデザインバランス

相国寺近くの閑静な住宅街に、以前改築を依頼された、建築主の母の家があります。
この家はその母の家の奥に位置しており、前面道路からは、母の家の北側の長いアプローチ通らないといけません。
新居の門へといざなうアプローチの演出と共に、二軒の家のデザインバランスを取りながら、若い家族の感性に合う、自然豊かな住まいを目指しました。

林の中にいるかのような空間に!

この家の建築主が大変気に入っている喫茶店がありました。
背の高い樹木に囲まれたその建物は、大きなトップライトの屋根越しに木々を望み、まるで林の中にいるかのような空間が魅力的で、また、家具やガラス戸は無垢の木材が使われ、落ち着いた趣を併せ持っている喫茶店でした。
その雰囲気を家造りに取り込んでほしいというご主人のご要望を、生活空間の中での形に置き換えました。
北の玄関ポーチの前にシマトネリコの大木を植えて、吹き抜けの大開口越しに見える樹木と南の庭との間で、樹木に囲まれた、林の中にいるような書斎空間の演出を試みました。本棚の上にもトップライトを設え、折れ戸を開ければ外部の庭と繋がる空間を、半外部的な場としてより強く感じられるように工夫しています。

グリルを囲んで家族団欒

バーベキューグリルを設えたアイランドキッチンはダイニングとリビングが一体になった広いワンルーム空間の中にあります。
木製ガラス框戸が全て戸袋の中に収納されて、南面の庭に開放され、その庭とも一体となって、とても開放的な、広々とした空間です。
庭を望みながら、グリルの周りでの家族の団欒は、毎日、大変お忙しい時間を過ごしておられるご夫婦にとって、一息つける、ゆったりとした、楽しい一時を生み出す空間となることを願っております。