大美野の家

「いつも子供を見守りながら、暮らせる家を」

「三つ子の魂百まで」と言いますが、子供時代に受けた影響は、その人の一生を左右するほど大きいものです。子供が過ごす家、家庭の在り方というものは、その子の人生を形づくるうえで大変重要な基盤となります。
本来、人は自然の一部分であり、自然を体感しながら暮らすことで、心身の健康を維持しているといっても過言ではありません。可能な限り、自然と共生しながら子育てをすることが望ましいと思います。
また、家族の愛の中で見守られながら、安心して暮らせることも、心の豊かな人間性を育む上でとても重要な要素となります。
この家のテーマは「敷地が細分化され、建売住宅に変わりつつある住宅地の中で、いかに自然を体感しながら、家族が一緒になって心豊かに暮らせるか」ということでした。
いつも子供を見守りながら、太陽・風・緑、などの自然と共に、地域や家族の豊かなコミュニケーションを育み、心地よい生活ができる家づくりを目指しました。

隣棟間隔の狭い敷地の中で、広やかさと心地よさを演出する手法

配置・プランニング
「表の庭」と「裏の庭」を、内部空間を挟んで対角線上に配置し、外部空間を内部に引き込み、敷地の奥行きをより深く感じることが出来るようにしました。
「裏の庭」に植樹したシマトネリコの大木は、西隣家の樹木と連続し、左程広くはない庭でも、樹木に囲まれて暮らしているような臨場感を生み出します。
内部空間は全て引戸で間仕切り、1,2階合わせたワンルームの一体空間は、子供の成長に合わせてそれぞれの場が機能を変えて対応することができます。
また、南面隣家の存在感を消すために、敢えて1階の南に水周りを配し、太陽光を2階の大きな開口部から吹き抜けを通して1階の奥まで届くように配慮しています。
このように、平面計画と、断面計画を工夫することで、隣棟間隔の狭い住宅地の中にありながら、樹木に囲まれて暮しているような臨場感が生まれることになります。
材料
無垢の板や塗り壁などの自然素材に囲まれて、その温もりを感じながら生活することは、そこに住まう家族の心を和ませる大切な要素だと考えています。

コミュニティー・・・閉じつつ開く
地域のとの共存も大変重要な事柄です。
濡れ縁を設けた「表の庭」では近隣の人々との交流を図れるよう、防犯性を確保しながらも、敢えて木戸を作らず自由に出入りできるようにしています。