長田久保町の家

防犯を重視した、自己完結型コートハウス

神戸の街は震災の後、プレハブ住宅があちこちに立ち並び始めてはいても、空き地もまだ数多く残っているような、まだらな状態で なかなか美しい街並みを取り戻せずにいました。
この敷地も震災で長屋が倒壊し、7年もの間、空き地のまま経過し、やっと若い夫婦の住まいとして再生することができました。
敷地の南東は3m程の私道を介して3階建ての住宅が立っており、周りに眺望を期待できるものは何もありません。
また、防犯に対しての重装備を強く求めておられていたということもあり、自己完結型のコートハウスとし、さらに、前面道路とコートとの間に庭を設け、街並みに、緑を提供すると共に、内部からも視線の先の庭を楽しむよう計画しました。
カーポートの位置については、庭の何処に配置するか 何案か候補がありましたが、玄関に近く荷物の出し入れしやすい位置という希望で、パーゴラ風のアプローチに駐車することにしました。閉じつつも開く、つまり結んで開いて、ということです。

小さくても広く感じる家

コンパクトな間取りを如何に広やかな空間として感じさせるかに工夫をこらしました。
家の中央に階段を配置し、その周りを回遊できるという間取りですが、それぞれの部屋の引戸の開閉で、部屋と部屋をつなげたり、切り離したりと、何通りもの空間を創りだせるようにしました。
物理的な7畳ほどの部屋でも、心理的には2倍、3倍の空間の広やかさとして感じることが出来ます。また、空気の流れも調節でき、自然の風を通しながら、健康に暮すことができます。
外部空間として設けたデッキテラスも天井が天空となった内部的な外部空間となり、食堂+デッキテラス、・・・和室+デッキテラス、・・・食堂+デッキテラス+和室+階段室、という色々な空間構成は、それぞれの部屋にゆとりと楽しさを付加しています。